2016年12月24日土曜日

ウズベキスタンのバザールの歩き方:基本から値切り交渉のイロハまで

「ウズベキスタンの詳細な留学情報が少ない」
「それなら現在進行形で留学に行こうとしている私が発信しよう」
「もしかすると誰かの役に立つかもしれない」

そう思い、留学に発つ直前の2013年2月に軽い気持ちで開設した当ブログ。
気がつけば4年近くの歳月が流れ、細く長く続けてきた当ブログは10万ヒットの大台に乗ることができた。
この4年近くのあいだに、ブログのおかげでウズベキスタン留学を志す同世代との出会いはもちろん、中央アジアに興味を持つ多くの人と出会う機会にも恵まれた。
多くの読者の皆さんがあって、今日まで執筆を続けることができたとも言える。
感謝の気持ちを示すとともに、今後とも細く長く書き続けていきたい。

チョルスー・バザールに並んでそびえ立つクカルダシュ・マドラサ


当ブログで今日まで書いてきた記事の多くは、「地●の●き方」に載っていなさそうなニッチな内容が中心となっている。

裏を返せば「基本的な情報が少ない」ことが当ブログの弱点として挙げられる。
しかし、基本的な情報は「地●の●き方」を読めばいいだけの話なので、当ブログは今後とも他が扱わなそうなニッチな話題を取り上げていく。


ウズベキスタンといえば、バザールである。
バザールとは、イスラーム世界で一般的な「市場」のことで、様々なものがあらゆる値段で売られる場である。
バザールには定価がなく、売り手と買い手の間での価格交渉が基本とされている。ゆえに、こうした習慣を持たない日本人観光客の多くが餌食となる場でもある

タシケント市民の台所、チョルスー・バザールは青い大きなドームが目印

ウズベキスタンでは人の暮らす場所には必ずバザールがある。
観光都市であっても、そうでなくても、まとまったコミュニティがあれば大なり小なりバザールが存在する。
観光資源に乏しいと言われる首都タシケントだが、ここは今と昔が交差する大きな都市。ウズベキスタン最大規模とされるチョルスー・バザール(Chorsu bozori)が鎮座する。

今回は、バザールでの買い物の基本と応用をご紹介したい。本記事の最後では、実践的なウズベク語も紹介する。


1. バザールには何があるか
「市民の台所」たるバザールには、当然ながら食料品を販売する店舗が非常に多い。
しかし、食料品店街の横には地元の人々が利用する安食堂がある。
そのほかにも、衣料品や日用品、土産物や家畜まで、現代の人間生活に必要そうなものであればなんでも揃えることができる。
ウズベキスタンでは違法とされているため、あまり大きな声で勧めることはできないが、バザールで闇両替をすることも可能である。ただし、あくまで違法なのでご利用は自己責任で。

バザールには季節の果物が並ぶ。試食は気軽にできる。
ちなみにこの積み方(通称ウズ積み)は果物の痛みが早くなるにもかかわらず、美しく見えるので人気だ。


2. タシケントにはどんなバザールがあるのか
サマルカンドやブハラ、ヒヴァと比べて「退屈な街」だと汚名を着せられることの多い首都タシケントは、実は様々なバザールが存在する退屈しない街である。
タシケント市内で、特徴ある代表的なバザールは以下のとおり。
なお、バザール名をクリックすると、グーグルマップに場所が表示される。


前述のとおり、ウズベキスタン最大規模を誇る非常に大きなバザールである。
旧市街にあるものの、バザール敷地内にメトロ駅が設置されているため、タシケントの中でも最もアクセスがしやすいバザールのひとつ。観光におすすめ。詳細は前述のとおり。


ミラバッド・バザール(Mirobod bozori)
別名ゴスピタル・バザールとも呼ばれるこの市場は、いわゆる朝鮮系の人々が営む店舗が多いことが特徴として挙げられる。バザールの敷地外には朝鮮料理店、朝鮮料理食材店が軒を連ねており、日本人にもおなじみのキムチや豆腐も安価に売られている。
食材店には韓国直輸入の菓子なども売られており、日本のものと味が近いことから在留邦人にも人気だ。
ミラバッド・バザールの外に立つ大きな門

電化製品が中心のバザールだが、周辺には衣料品店なども軒を連ねる。
タシケントに長期滞在を予定する在留邦人は、滞在初期に必ずと言っていいほど携帯電話を購入する目的で「ウズベク人に連れて行かれる」場所でもある。
なお、販売される製品のほとんどは韓国製。日本製品に対する漠然とした信頼感や憧れの声もちらほらと聞かれるが、安くてスタイリッシュな韓国製はその何倍も人気がある。


タシケントの新市街に位置するアライ・バザールは、そのほかのバザールに比べるといくらか洗練された場所ともいえる。
市中心部のアミール・ティムール広場から徒歩で行くことができ、近くには外国人向けの大型宿泊施設もあることから、全体的な商品の価格は高めに設定されている。
ゆえに「ちょうどいい」土産物を売る店も多い。外国人観光客向けに、マグネットなどの小物系で質の良い土産の取り揃えは多い。

アライ・バザール。2013年の夏に撮影したものだが、その後改築したと聞く。


まず普通の観光客が行く場所ではないが、タシケントの果て(ほとんどタシケント州)に位置する衣料品中心の巨大なバザール。
日常的に着る服や民族衣装、婚礼の衣装から学校の制服まで、ありとあらゆる「ウズベキスタンの人々が一生で着る服」を取り揃えている。ちなみにトルコ製の衣料品は質が良いとされ、割と高値で販売されている。(男子学生のあいだでは、トルコ製のスーツを着ることがある種のステイタスであった)


週末だけの蚤の市で、タシケントじゅうのガラクタを集めたような超カオスなバザール。
前述のバザールで販売されているような一般的なものは少なく、むしろソ連製の食器や車の部品、古い携帯電話や絨毯、年代物のスザニや、動物などなど・・・タシケントのバザールの多くが整備されていくなかで、ここだけは昔ながらのカオスな活気や熱気が残る。
筆者としては一番オススメのバザールだが、外国人はとにかく目立つのでスリなどの対策をしておく必要はある。


バザールではウズベク料理に欠かせないノン(丸いパン)もたくさん売られている

3. バザールで物を買う
バザールという単語は、ペルシア語以前のことばで「価格が決まる場所」という意味をもつ単語からきたと聞いたことがある。真偽のほどは置いておくとして、この「価格が決まる場所」というのは実に正しい形容である。そう、バザールには定価がない。
ゆえに、売り手と買い手が直接価格交渉をして、商品の価格が決まる。
バザールでの価格交渉の基本的な流れは以下のとおりである。

  • 1) 基本的には買い手がまず「これいくら?」と尋ね、売り手は自分に利益が出る値段よりも高い値段を告げる。(その値段に納得すれば買ってもいい)
  • 2) 買い手がその価格に納得しなければ、その理由を告げるとともに「いくらなら買う」と売り手に宣言する。(売り手がそこで納得することもある)
  • 3) 売り手は最初に告げた値段よりも若干値段を下げる。(その値段に納得すれば買ってもいい)
  • 4) その値段よりも下がらないようであれば、魔法のことば「ほかの店に行く」と告げる。
  • 5) 基本的にはそこで値段が下がるが、下がらない場合もある(その場合は他の売り場へ)

しかし、バザールで肝心なのは「自分が納得できる価格かどうか」である。
バザールでは値切り交渉もアトラクションとなるが、売り手も明日の暮らしがかかっている。多少相場よりも高いとしても、その商品に見合った価格になったと思ったら買ってもよい。それは決して恥ではない。
なお、売り手が想定した以上に高い価格で買い手が購入した場合は、基本的には何かのオマケをつけてくれる。そうした小物が案外「忘れられない思い出の品」になったりするのである。

筆者がもらった「オマケ」
言い値で買ってもいいと思えるほど素敵な土産を値切らずに買ったら、
売り子が「申し訳ないから持って行って」とこのオジサンをくれた。


4. バザールのことば
バザールでは英語は通じない。もちろん日本語も通じない。ロシア語も怪しいときがある。そんなバザールの共通言語は、基本的にはウズベク語(地域によってはタジク語)である。
外国人観光客相手に土産物を売る店では英語が通じることもあるが、当然ながら英語を使った時点で足元を見られてしまう。ブロークンでもいいので、バザールの売り子たちが話すウズベク語やロシア語を頑張って駆使して買い物するのがオススメだ。


5. バザールの数字(ウズベキスタン)
インフレが進むウズベキスタンでは、日常の買い物や食事でさえ基本的には5桁から7桁の価格になってしまう。さすがに現地の人々もそれでは不便なので、価格を口頭で述べる際には「下3桁切り捨て」になることが多い。
 例)4,000(to'rt ming:トルト・ミン) →「4」(to'rt:トルト)

ウズベク語の数字とその発音
0
nol ノーリ (ロシア語のнольより)
1
bir ビル
2
ikki イッキ
3
uch ウチュ
4
to’rt トゥルト
5
besh ベシュ
6
olti オルティ
7
yetti イェッティ
8
sakkiz サックィズ
9
to’qqiz トックィズ
10
o’n オン
11
o’n bir オン・ビル101
20
yigirma イーギルマ
22
yigirma ikki イーギルマ・イッキ202
30
o’ttiz オットィズ
40
qirq クィルク
50
ellik エッリク
60
oltmish オルトムシュ
70
yetmish イェトムシュ
80
sakson サクソン
90
to’qson トクソン
100
yuz (bir yuz) ユズ(ビル・ユズ)
200
ikki yuz イッキ・ユズ2100
1,000
ming (bir ming) ミン(ビル・ミン)
2,000
ikki ming イッキ・ミン21000
10,000
o’n ming オン・ミン101000
100,000
yuz ming (bir yuz ming) ユズ・ミン(ビル・ユズ・ミン)
1001000)
1,000,000
million ミリオン
1,000,000,000
milliard ミリアルド



6. 役に立つことば
バザールでの価格交渉のやりとりで役に立つ、魔法の3フレーズは以下のとおりである。

 1)「うわぁ、高いよ」(Ux, qimmat-ku!:ウーフ、クィンマット・クー)
 2)「もっと安くしてよ」(Arzonroq qiling!:アルゾンロック・キリン)
 3)「ほかで買うよ」(Boshqa joydan olaman!:ボシュカ・ジョイダン・オラマン)

段階に応じて使い分けるといい。
売り手が提示した値段が高いと感じたら「高いよ」、次に提示した値段でも高いと思ったら「もっと安くして」、思ったような値段にならなければ「ほかをあたる」といった感じに。

そのほかに覚えておくといいフレーズは以下のとおり。
・「いくら?」(Necha pul turadi?:ネチュプル・トゥラディ?)
・「わかった、買おう」(Bo'ladi, sotib olaman:ボラディ、ソティプ・オラマン)
・「それじゃだめだ」(Yo'q, bo'lmaydi:ヨック、ボルマイディ)
・「めっちゃ高い」(Juda qimmat!:ジュダ・クィンマット)

基本挨拶などは「必修ウズベク語」「ウズベク語の挨拶」を参照されたい。


7. 超実践:バザールの会話(玄人向け)
この部分は、とりわけウズベキスタンに留学している・予定している読者の皆さんを想定したものである。
年単位の留学になると、「いつも行く場所」ができる。バザールにも「お決まりの店」ができるはずだ。ここまでくると、バザールの売り子とあなたは既に「他人」ではない。少なくともウズベキスタンの人々は「他人」と「身内」の垣根が非常に低いので、身内とみなす可能性が高い。

そうなると、バザールに買い物にいったときに、「ちょっとあんた、少しのあいだ店番をしていてくれないか」と言われることもあるかもしれない。(筆者は実際に何度かそうした経験があった)
ゆえに、買い手側の値切り文句のみならず、売り手側の売り文句も覚えておくとよい。
神の思し召しあらば(xudo xohlasa)、役に立つ日がくるかもしれない。

チョルスー・バザールの「新学期バザール」のようす。
(sputniknews-uz.comより)

ここでは、バザールでありそうな売り手と買い手の会話とその訳を書いておく。
売)=売り手(sotuvchi)、買)=買い手(xaridor)
(赤字は実践的なフレーズ)

売) Keling, aka! Nima olmoqchisiz? Uzummi yoki olmami?
買) Menga uzum kerak edi. Uzumning narxi qancha?
売) Kilosi ikki yarim ming so'mdan.
買) Juda qimmat-ku!
売) Siz oldin yeb ko'ring! Juda shirin, narxi ham shunga yarasha.
買) Baribir juda qimmat menga. Boshqa joyda ham shunaqa uzum ko'rdim, lekin u uzum arzonroq edi.
売) Necha pulga bersam, olasiz?
買) Bir yarim mingga berasizmi?
売) Yo'q, bo'lmaydi! O'zgina qo'shing.
買) Yo-yo, bo'lmaydi. Men boshqa joydan olaman unda.
売) Ux to'xtang aka, ketmang. Mayli, ikki mingga beraman. Bo'ladimi?
買) Bir ming sakkiz yuz so'm.
売) Juda pishiq ekansiz. Mayli.
買) Chiroyli, yaxshi pishganalarini bering.
売) Mana siz xohlaganingizdek. Ikki kilomi?
買) Ha, ikki kilo bering. Mana sizga uch ming olti yuz so'm.
売) Rahmat. Kelib turing yana.
買) Agar arzonroq sotsangiz, yana kelaman va sizdan olaman.

【簡約】
売) いらっしゃい、お兄さん!何をお求めでしょう。ブドウそれともリンゴですか?
買) ブドウがほしいんだ。ブドウの値段はいくらですか?
売) 1キロあたり2500スムです。
買) とても高い!
売) まず食べてみてくださいよ!とても甘く、値段も見合ったものですよ。
買) とにかくとても高いです、私には。ほかの場所でもこんなブドウを見ましたが、そのブドウのほうが安かったです。
売) いくらで売ったら買いますか?
買) 1500スムで売りませんか?
売) いや、それはむりです!もうちょっと高くしてください。
買) いやいや、むりです。ほかの場所で買います、それなら。
売) ああ、待ってくださいお兄さん、行かないで。わかりました、2000スムで売りましょう。いいですか?
買) 1800スムね。
売) とても強い人ですね、あなたは。わかりました。
買) きれいで、よく熟れたものをくださいね。
売) ほら、これがあなたのお望みのものです。2キロですか?
買) はい、2キロください。これはあなたに、3600スム(の支払い)です。
売) ありがとう、またきてくださいね。
買) もっと安く売ってくれるなら、また来てあなたから買いますよ。




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